諸橋茂一の言語道断

<その1>

中国に対するODAは中止すべきである。

  

以前に「13年3月号」でも取り上げたが、中国に対するODAは中止すべきである。
 既報のとおり中国は米国・(旧)ソ連に引き続き、去る10月15日、有人宇宙衛星「神州5号」の打ち上げに成功した。
 その中国に対して、我が国はこれまでに、旧輸銀からの資源ローンとアンタイドローン(中国が資材の調達先を日本にすることを拘束しないローン)も含めて何と約6兆5,000億円もの巨額の経済援助を続けている。
 有人宇宙衛星を打ち上げることさえ出来るだけの経済的余力並びに科学技術力のある中国に対して何故、低開発国に対する経済援助であるはずのODAを続けなくてはいけないのか?全く理解に苦しむと言わざるを得ない。
 中国は、我が国から実に多額の経済援助を受けながら、宇宙開発も含めて軍備の増強を続け、多くのミサイルの照準を何と我が国に向けている。その上、中国は平成11年度中だけで、我が国の排他的水域内など我が国の周辺水域全域で中国戦艦が8回、31隻、海洋調査船は15回、23隻も平気で航行を繰り返していたという。我が国・固有の領土である尖閣列島付近にも幾度となく領海侵犯を繰り返している。
 しかも、アジアやアフリカを中心として世界の多くの国々に対して巨額のODAを続けているのである。
 一方、我が国の多額のODA・約300億円で完成した北京空港や同310億円を供与した宝山製鉄所他、多くの空港、高速道路及び鉄道等を次から次へと何と民営化しているのである。(施設整備等が最初から民間のものであれば、ODAの対象にはならない。)
 去る11月14日付けの産経新聞によれば、「米国・上院外交委員会の元主席顧問で、中国軍事力研究専門家・ウィリアム・トリプレット氏は、『日本から中国に対するODAは、鉄道や高速道路など多くのインフラ整備等を通じて中国の軍事能力の強化に直接寄与している。それだけではなく、中国は日本からODAを受けて、余裕の出た資金を利用して、北朝鮮やパキスタン等への軍事関連支援を続けている。中国から北朝鮮への援助は金正日政権の強化と存続に寄与している。日本から中国へのODA供与は、日本の安全保障上の利害を損なう。』と述べている。また、米国議会調査局のアジア専門上級アナリストのラリー・ニクシュ氏は、『中国は今年の8月、ミャンマーの軍事政権への経済援助3億5千万ドルの供与を発表した。日本の公的資金(ODA)供与は停止する時期がきている。』と述べている。ヘリテージ財団副所長で米国軍事問題専門家のラリー・ウォーツェル氏も『中国が福建省に台湾向けのミサイルを大量に配備するのも、有人宇宙衛星を打ち上げるのも、総合的国力の強大さを示しており、その様な大国にODAを与えることは愚かだ』と、日本の政策を批判した」 ということである。
 改めて強く主張する。中国に対するODAは中止すべきである。

 
  

<その2>

一体何の為の「マニュフェスト」か?

 

総選挙が終わった。そして、保守新党は自民党に吸収されることとなり、自民党と公明党の連立政権が今後の我が国の政治を担うことになった。
 今回の総選挙では、各党ともに「マニュフェスト」なるものを作って、さかんにアッピールした。しかし、去る11月15日の産経新聞によると、「自民党が先の衆院選で『マニュフェスト』に盛り込んだ『憲法改正と教育基本法改正』が自民党と公明党の新連立合意には盛り込まれないことになった」という。
 ということは、自民党が選挙期間中、マニュフェストを通じて、多くの有権者に、「今後我が党は改めて、『憲法改正と教育基本法改正』問題に一生懸命取り組みます」 と訴え、公約したはずの政策が、今後当分の間、実態としてはあまり進む可能性がなくなった、ということになる。
 それでは、一体何の為の「マニュフェスト(政権公約)」なのか?さっぱり分からない。
 これでは多くの有権者に対する背信行為である。この様に中途半端な「マニュフェスト」ではあまり意味がない。
 この様なことになるのであれば、今後の選挙においては、「マニュフェスト」の中で、「連立政権となった場合は、方針が変わるかも知れない」政策と「例えどんなことがあっても絶対に変えない政策」を明確に分類して記載すべきである。

 
  

<その3>

イラクへの自衛隊派遣

 

イラクへの自衛隊派遣の為の法律は出来たものの、我が国政府は、自衛隊派遣をためらっている。
 イラクでは、米軍だけではなく、イタリア軍や報道機関が滞在しているホテルまでテロの対象となり、犠牲者が増える一方である。それに加えて、イラクのテロ集団サイドからは、我が国に対して、「もしも、自衛隊をイラクに派遣した場合は、東京をテロの標的とする。覚悟しろ。」という様な脅しまでかけられている。その様な状況の中で、去る11月30日、我が国外務省からイラクに派遣されていた奥克彦参事官(当時、その後2階級特進して大使)(45)と、井ノ上正盛三等書記官(当時、同一等書記官)(30)が、イラクのティクリット近くで射殺された。(イラクにおいて我が国、外務省の代表として一生懸命努力されたお二人に深甚なる敬意を表すると共に、お二人の安らかなる御冥福をお祈り致します。)そのことにより、朝日新聞をはじめとする反日マスコミ並びに、野党各党は再び「イラクへ自衛隊を派遣すべきでない」という論調を強めている。それらに押されて我が国政府は、これ迄以上に自衛隊派遣を躊躇する状況が続いている。
 しかし、この様な状況の中で、躊躇するようならば、そもそも「イラクへ自衛隊を派遣する為の法案」など通すべきではなかったであろう。
 関連法案を通す際、「我が国は非戦闘地帯へ自衛隊を派遣します。安全な場所へ派遣しますから、そんなに大きな問題はありません」と実態とは大きくズレた説明を繰り返して法案を通したのが実情である。
 そもそも、完全に戦闘が終結していない国に自衛隊を派遣するにも拘わらず、その様な詭弁を弄してきたことがそもそも大きな間違いである。
 比較的スムーズに進んだとしても、イラクの内政安定がある程度整う、安心出来る状態となる迄に恐らく未だ2〜3年くらいは必要となるのではないだろうか?そこへ自衛隊を派遣するのに、「安全な所を選んで派遣しますから、安全です」という考え方が根本的に間違っている。
 「当分の間、非常に危険は伴うが、我が国は米国との同盟関係、北朝鮮問題及び国際的な我が国の信頼感の獲得・保持の為には、仮にある程度の犠牲者が出たとしても止むを得ない。その様なリスクを負ってでも我が国はどうしても自衛隊を派遣せざるを得ない。」という様に、嘘をつかず、もっと正直に、真摯な説明を国会のみならず、全国民に対して説明して関連法案を通すべきであった。
 しかし、今その様な事を言っていても始まらない。改めて、前述の様な事を充分説明した上で、自衛隊を派遣すべきである。
 何れの国も、何れの国民も、基本的には戦争が大好きで戦争をしたくてたまらないなどと思っているはずがないのである。しかし、様々な歴史経過や複雑な事情、或いは理想の実現の為に、又は、各国の複雑な思惑・国益並びに宗教的対立、それに加えて様々な怨念などが複雑に絡み合って戦争は残念ながら繰り返されている。
 誰にとっても基本的には平和が良いに決まっているのである。処が、誠に残念ながら戦争は繰り返されている。それが厳然たる現実である。世界は決して善か悪かだけの単純な判断だけで動いている訳ではない。
 我が国が世界・全ての国々との関係を断ち切って生きていく事が出来るのであれば、理想論を唱え続けて、我が国は戦争には絶対に関わらない様にすれば良いかも知れない。
 しかし、我が国は現実問題として、残念ながら世界から孤立して生きて行く事は出来ない。世界の現実に背を向けて、我が国単独で進む訳にはいかないのである。
 それならば、我が国は、世界の厳しい現実から目をそらさずに、多少のリスクを負ってでも、現実的選択をせざるを得ないのである。
 但し、危険な所へ派遣する以上は、出来る限り犠牲者が出ないようにする為に、派遣する自衛隊の装備には万全を期すべきであるし、武器の使用についても、現実を無視した様な内容ではなく、国際法に準じた防御対応が十分とれる様な環境整備をしっかりしてから派遣すべきである。
 危険な所へ派遣するにも拘わらず、「危険の無い非戦闘地帯へ派遣しますから、装備も武器使用基準もほどほどで良いのです」などと、嘘をついて、無責任に多くの自衛隊員を派遣して、少なくない犠牲者が出た時に、政府の首脳は自分の腹を切ってお詫びする覚悟があるならば、今考えている様な中途半端な形で派遣するがよい。しかし、その様な覚悟もないのであれば、派遣する隊員の犠牲者を極力少なくする為に万全を期してから派遣すべきである。そして、その様な事と合わせて、万が一に戦死者が出た場合、戦死(今の我が国では殉職という扱いしかされない。)した本人の遺族に対する金銭的保償だけではなく、戦死した方々を国葬として、その名誉を大きく称えると共に、靖国神社にお祀りして心の込もった慰霊をすべきである。それが、為政者としての当然の責務であろう。
 北朝鮮に多くの国民が拉致されている事が明確になっているにも拘わらず、いつまでも手をこまねいている様な状況も実にお粗末であり、情けない限りである。拉致されている方々並びに多くの御家族の方々の御心痛を思えば、耐えられないものがある。誠に情けないことに、我が国は全く独立国家の体を成していない。その最も大きな弊害は現憲法にあるとも言える。
 北朝鮮による拉致問題もイラク問題も、世界の中の独立国家としての行動が当たり前に取れる様な国家にする為に、真に日本国民の為の国家にする為に、(占領下において押し付けられた無効憲法であるという理由ばかりではなく、)中途半端で現実に全くそぐわないところの多い現憲法は、(小泉政権の後の政権がやってくれるでしょう、などという責任逃れの姿勢ではなく、)首相がまず真剣に考え、多くの国会議員が強い使命感を持ち、真剣に勉強して、一日でも早く適切に改正すべきであることは極く当然である。
 「今回イラクで我が国に犠牲者が出たから、自衛隊をイラクへ派遣すべきではない」という考え方は、火事の現場や、犯罪の発生現場で、消防隊員若しくは警察官が死亡したから、火事の現場や、犯罪の発生現場へ消防隊員や警察官を行かせるべきではない、と言っているに等しい。今のイラクに自衛隊を派遣することは非常に大きな危険を伴うが、それでも前述のとおりの理由、事情により、総合的な判断として、一日でも早くイラクに平和を回復させる為にも我が国は毅然たる姿勢で、イラクに自衛隊を派遣すべきである。
 

<その4>

続発する青少年の異常な凶悪犯罪をどうして無くするか?

 

大阪市河内長野市で「大学生(19)が家族を殺傷する」事件が起きた。「その大学生と交際していた女子高校生(16)も、自分の家族を殺そうとして、包丁を買って準備していた」という。本来ならば、「考えられない凶悪事件が起きた」と記すべきであろうが、ここ数年、想像も出来ない凶悪犯罪が繰り返されている為、「またか?」と暗然たる気持ちにさせられることの連続である。去る11月20日付けの産経新聞によれば、この事件の男女が、この様な凶悪事件を何故起こしたのか?或いは起こそうとしたのか?という捜査陣の問いかけに対して、何と、「血や死体を見て見たかった。包丁を使えば、人の内臓を見られる。家族なら狙い易いと思った。」 と供述しているという。恐ろしい。全く異常と言う他ない。
 何故、この様な異常な人間が育ってしまったのであろうか?正に憂うべき、危機的状況である。
 我が国の学校教育・家庭のしつけ、マスコミの低俗番組等を真剣に考え直し、大きく改めなくてはいけない。そうしなくては、我が国に明るい未来はない。

                   

平成15年12月