諸橋茂一の言語道断

選択的夫婦別姓制度の過ち」

 1月21日から始まった通常国会において、法務省が中心となり、「選択的夫婦別姓制度」などと言う訳の分からない法案が提出されようとしている。森山真弓法相や野田聖子議員を先頭にして相当数の自民党議員も同調しているとのことである。自民党執行部は公明党との取引で選択的夫婦別姓制度導入の為の民法改正(改悪)の意向を固めたようだ、(高崎経済大学八木秀次教授)という。
 何と馬鹿なことを考えるのか?全く理解に苦しむと言わざるを得ない。
 世界の国々の中で、この様な制度を最も積極的に取り入れているスウェーデンでは離婚率が非常に高く、子供達の非行や犯罪の増加も増える一方であるということである。又、結婚前に子供を作ってしまうカップルも50%くらいになっている、ということである。その様なことが大きな社会問題となっているそうである。
 それはそうであろう。「結婚しても両親が別々の姓を名乗り、子供達は両親のどちらかの姓を名乗る」ということになれば、当然、家族としての一体感も薄れ、夫婦間の絆も弱くなり、子供達の精神状態も非常に不安定なものになるのは極く当然と言えば当然である。
 平成13年8月4日、内閣府が世論調査をした結果発表によると、「夫婦別姓」を積極的に支持しているのは僅か7.6%でしかないということである。それはそうである。小生の友人相当数と、この件で話をしたが、夫婦別姓が良いなどと言う友人は一人もいない。処が何と内閣府はその世論調査の結果を誤解させる様な発表をしている。(決して積極的賛成ではないが)別姓制度を認めても良い、とする消極的容認派が42.1%で、それに対して明確に反対と言う立場を取る人が29.1%となったことを指して、夫婦別姓に賛成する人がそれに反対する人達を上まったと言う虚偽の発表をしているのである。全くとんでもないことである。しかもその時の調査の中で、夫婦別姓が「子供にとって好ましくない影響があると思う」割合が依然として66%もあるというのにそのことは殆ど大きく発表していないのである。これでは正に政府による意図的な世論操作であると言わざるを得ない。
 今年1月号の「致知」に掲載された渡部昇一氏のリポートによると、夫婦別姓とリンクする「結婚制度廃止」と言う論を約200年以上前にフランスの哲学者ルソーが唱え、1917年のロシア革命の後、レーニンがそれを実行したということである。
 処が、不良少年がやたらと増えて、さすがのソ連も根を上げてしまい、十数年で結婚制度を復活させたということである。そんな馬鹿な考えを主張したルソー自身が、パリの下宿先で女中と同棲し5人の子供をつくったが、何とルソーはそれらの子供達5人全員を孤児院の戸口に捨ててしまい、一人として自分で子供を育てていないということである。全くとんでもない男である。(以上渡部昇一氏)
 この様な「夫婦別姓」などという考え方は元々超左翼の過激思想であるという。「それを何と、保守政権であるはずの自民党が中心となってこの様に馬鹿げた法案を通そうとしているとは一体何事か?」と渡部昇一氏は憤慨しておられる。小生も全く同感である。
 小室直樹氏によると、19世紀後半の社会学の祖ともいうべきデュルケームは、「人間にとって、また社会にとって連帯感が非常に重要である。人間の連帯感の最も基礎となるのが家族であり、家族の連帯感が親族に及び、地域に及び、さらには国の連帯感になる。この大切な連帯感を喪失すると、人は医学的には精神障害が無くても精神障害者よりも恐ろしいことを平気でやるようになる。」と言うような学説を説いたという。
 関西のある機関で、いわゆる「キレる子供」について調べたところ、全部が全部、両親がいて子供がいるという通常の生活が破綻した家庭の子供だったという。
 この法案を通そうとしている野党の主な者を上げると、社民党では結婚をしたこともない党首の土井たか子、同じく福島瑞穂、辻本清美らであるということである。これらの女史はルソーやマルクス、エンゲルス、レーニンなどの思想そのままの社会観、家庭観の持ち主で、中でも福島瑞穂は娘が20歳になったら家族解散式をやると公言し、夫の両親に一度もあったことが無いことを自慢にしているという。(渡部昇一氏による)その様に常識の外れた者達が我が国の家族制度を無茶苦茶に破壊しようとしているのである。
 この問題を議論している政府の「男女共同参画会議」基本問題専門調査会には、夫婦別姓導入に反対若しくは慎重な意見を持つ者はただの一人の参加も許されていないという。全くとんでもないことである。
 我が国ではここ数年、ただでさえ、青少年の非行や凶悪犯罪の増加が大きな社会問題となっている。
 その様な中で、我が国の家族制度を破壊し、更に青少年の非行や凶悪犯罪の増加に拍車をかける様な夫婦別姓制度の導入など全くとんでもないことである。
全く言語道断である。
 結婚しても姓を変えたくない者は入籍しなければ良いのである。或いはきちんと入籍し、戸籍上は夫婦どちらかの姓になった場合、仕事上の不都合が有るので有れば、曾野綾子さんの様に仕事上だけは旧姓を使用すれば良いのである。それで立派なお仕事をしておられる素晴らしい女性も大勢おられるのである。

平成14年3月