諸橋茂一の言語道断

「これが日本の教科書か?」

 こんなひどい教科書で学んでいるから子供達がおかしくなる。
 再び教科書の問題を取り上げたい。(今月と来月連載したい)
 10月号でも教科書の問題について触れたが、古今東西を問わず、「教育は国家百年の大計である。」
 教育は
1.人間として、社会人としての基本を理解させると共に、その為に必要な道徳・知識・常識・基礎学力・理論等を修得させる。
2.我が国の歴史・文化等について理解を深め、我が国の先人の方々に対する敬意と感謝の念を深めると共に、日本人としての自信と誇りを養う。
3.世界の歴史・文化等について理解を深め、人類社会の平和・安定・発展に資する事の出来る人間形成を目指す。
等を基本とすべきものであろう。
 その様な観点で教科書を観た場合、我が国で今現在使用されている教科書或いは来年度以降使用されることになっている教科書はどうなっているのであろうか?
 結論を先に書けば、(10月号でも触れてはいるが、現在使用されている7社の中学校用歴史教科書全てが)「一体これが日本の教科書なのか?」とびっくりするくらいに酷い内容である。
 以下、石川県で最も多く採用されている「東京書籍」発行の中学校用歴史教科書についてその具体的内容と問題点を列挙する。
 1. 明らかに我が国が侵略された文永の役(1274年)、及び弘安の役(1281年)、いわゆる「元寇」については、「元は高麗の軍勢をも合わせて博多に上陸し」、「2度の襲来(元寇)」、「元は日本への遠征を行おうとしました。」という様に非常に穏やかに記述する一方で、
 2. 「秀吉の朝鮮侵略」、「日本の中国侵略」という様に記述している。何故、我が国が他国に対して武力攻撃したことは全て「侵略」となり、我が国が侵略されたことは「上陸」、「襲来」、「遠征」となるのであろうか?全く理解に苦しむと言わざるを得ない。
 3. 「太平洋戦争(大東亜戦争)の背景はロバート・ステイネット著「真珠湾の真実」や産経新聞で長期連載された「ルーズベルト秘録」でも詳しく触れられているとおり、「昭和14年にヨーロッパで始まっていた第二次世界大戦の緒戦において、フランスがドイツに占領され、イギリスはドイツから猛爆を加えられ続け、ドイツが圧倒的に優勢な中で、イギリスは米国に対して何度も援軍要請をした。しかし当時の米国大統領、フランクリン・ルーズベルトはその前に行われた大統領選挙において、『戦争には絶対に参加しない』ということを最大公約として三選を果たした為、簡単にヨーロッパに軍隊を送る訳にはいかなかった。そこでヨーロッパに派兵する大義名分を創る為に、ABCDラインによる経済封鎖を含めて、我が国を徹底的に追い詰め、我が国が第一撃を撃たざるを得ないように追い込んで行ったのである。だから我が国が止むに止まれず真珠湾攻撃をしたとき、その報を聞いたルーズベルトもチャーチルも「Good!」と言ったのである。しかもその遙か以前1905年に我が国が日露戦争に勝利した後、我が国を仮想敵国として、我が国と戦った場合、米国は日本をどの様にして撃ち破るか?と言う目的の為に「オレンジ計画」を作り、それをその後何度も見直しをし、1924年には在米日系人を徹底的に迫害する為に何と「排日移民法」を作り、「日系米人の土地を取り上げ、その後日系人は永遠に土地の所有を禁ずる」、という日系人に対して全くとんでもない迫害を続けていたのである。
 4. しかし東京書籍の教科書では、その流れについて、「日本の中国侵略や東南アジアへの進出に反対するアメリカとの対立が激しくなると、日本は1941年、ハワイの真珠湾にあるアメリカ基地を攻撃し、太平洋戦争が始まった。」或いは「日本は、東南アジアに植民地を持つイギリスやフランスなどがヨーロッパ戦線に主力を注いでいる機会を利用して、この地域の資源を獲得する為に進出しました。」(話が全く逆である。)という様に記述してある。
 5. これでは何も知らない中学生がこれを読めば、アメリカが全て正しくて、まるで我が国が一方的に悪かったかの様にしか思えない書き方である。
 6. 済南で数十名、通州で百数十名、我が国の在中国居留民が想像もつかない様な状態で残酷に虐殺され、そしてその後、上海において日本軍の将校と運転手が見るも無惨に惨殺された。その様なことが続いた為に、昭和12年当時、我が国が止むを得ず、上海に出兵し、第二次上海事変の戦いが始まったのであり、その戦いの中で中国(国民党軍と共産党八路軍)に対して、米国やイギリスそれにフランスや旧ソ連などが武器・弾薬のみならず最終的には戦闘機やパイロットまでも出して応援した為、戦いが支那事変(日中戦争)として延々と昭和20年の大東亜戦争の終結まで続いてしまったのである。実際の状況は、先月9月11日に発生した米国のとんでもないテロに対して、米国がアフガニスタンに軍隊を派遣し、タリバンに対して徹底的な攻撃を加えているのと基本的には変わらない状況にあったのである。
 7. それらの歴史経過・背景に全く触れようともせずに、ただ単純に「日本の中国侵略」とキャプションをつけて、まるで我が国がただひたすら一方的に中国を侵略したかの様に記述してある。
 8. 我が国の朝鮮半島統治時代の所謂「創始改名」については、当時の朝鮮半島の中で、「日本人の名前に変えたい」という希望が非常に多かった為、一定期間を切って、「希望者のみに日本人の名前に変えることを認めた。」ということであるにも拘わらず、まるで我が国が強制的に名前を変えさせたかの様に記述してある。
 とにかくこれでもか、と言うくらいに徹底的に我が国のことを悪く思わせる為の内容・記述になっている。これは一体何処の国の教科書なのか?まるで中国か韓国の教科書のようである。全く言語道断である。
平成13年12月