諸橋茂一の言語道断

情けない教科書採択問題

 石川県下、市・町・村の中学校で来年度から採用される「歴史」及び「公民」の教科書が決まった。多くの市・町・村では東京書籍発行の教科書を採択し、その次に採用されたのは帝国書院発行の教科書である。
 それでは県下で最も多く採用された東京書籍の教科書は一体どの様な内容になっているのだろうか?
 広島に原爆が落とされたことに関しては、(その要旨として)以下の様に記述してある。「当時、広島は軍都であった為、原爆を落とされたのである。(広島が悪かった、仕方がなかった)」と記述してあるのである。
 こんな馬鹿な記述が一体何処にあるだろうか?この論理は「女性であった為に暴行を受けたのだ。女性であったことが悪かったのだ、仕方がなかったのだ」と言うのとそう変わらないどころか全く比較にならないくらいの、とんでもない暴論である。これは一体何処の国の教科書なのか?
 朝鮮独立運動のシンボルとして柳寛順という女性をまるで英雄の様に写真入りで記述してある。この女性は韓国の教科書に載っているのをそのまま転記してあるということである。全くとんでもないことである。韓国で教えるのは韓国の自由かも知れないが、それを何故そのまま我が国の教科書に記載する必要があるのか?柳寛順を教えるより、もっと優先的に教えなければいけない我が国の歴史上の人物は非常に多いにも拘わらず、何故この女性を教える必要があるのか?全く理解に苦しむと言わざるを得ない。同様に朝鮮の英雄として、李舜臣と言う人間も大きく写真入りで取り上げている。
 その一方では、当然教えるべき神武天皇、前田利家、関孝和、上杉鷹山、中岡慎太郎、山内容堂、二宮尊徳、後藤象二郎、勝海舟、渋沢栄一、副島密、東郷平八郎、乃木希典、児玉源太郎、八木秀次、八田與一、杉原千畝、松井石根等々、我が国の歴史上の人物として当然教えるべき人物が相当抜けているのである。
 1894年の東学党の乱、1895年の台湾割譲、1910年からの日韓併合並びに中国の事についても当時の朝鮮半島の人々や台湾の人々が如何に日本に抵抗し、戦ったのかという事ばかりを、それぞれ大きく写真入りで強調している。その一方で我が国が朝鮮並びに台湾を統治していた間、「朝鮮半島全域並びに台湾に学校を多く造り、ハングル文字も含めて、それまで非常に遅れていた教育に力を入れたことや、鉄道やダム・道路等、非常に遅れていたインフラ整備に力を尽くした」ことは全く触れてさえいない。要するに我が国の負の部分ばかりを強調しているのである。正に自虐的教科書である。
 支那事変(日中戦争)に関しても、まるで中国の教科書なのかという様な内容である。その殆どが実は作り話であることが最近明らかになってきている、所謂「南京大虐殺」に付いても、間違いなくそのことがあったかの様に「日本軍は20万人の中国人を殺害した」と非常に断定的に書いてある。
 我が国が中国(元)と朝鮮から侵略された1274年と1281年の元寇については「元は博多に上陸し…」などと優しく記述し、豊臣秀吉の朝鮮出兵や支那事変については、それぞれ「朝鮮侵略」、「中国侵略」と記述している。
 ロバート・スティネット著「真珠湾の真実」、及び一昨年〜昨年にかけて産経新聞紙上で長期連載された「ルーズベルト秘録」にも詳しく記されているとおり、「我が国はルーズベルトとチャーチルによって、非常に巧妙に開戦せざるを得ない様な状況に追い込まれて行ったのだ」という説が非常に有力になりつつあるにも拘わらず、まるで我が国が一方的に悪かったかの様に、「東南アジアを狙う日本」、「大東亜共栄圏のまぼろし」などとキャプションを付けて、まるで我が国が一方的に悪かったかの様に記述している。
 事実を相当ねじ曲げて「バターン死の行進」や「朝鮮人や中国人の強制連行」を記述し、殆ど裏付けも無いままに、「朝鮮人を強制連行する際、警察官や役人が土足で家に上がり、寝ている男を家から連れ出す事もありました。抵抗する者は木刀でなぐりつけ、泣き叫びながらトラックに追いすがる妻子を上からけりつけた…」などと嘘八百、正に出鱈目を「これでもか」と言うくらいに書いてある。
 万が一にその様な事が行われていたならば、それこそ大変な暴動が起きていたであろう。
 その様に酷いことをされながら、当時の朝鮮の人々が黙っていたとすれば、それこそ朝鮮民族に対する大きな侮辱である。また万が一にその様な事が行われていたならば、大戦末期に於いて、朝鮮半島で志願兵を募った際、募集定員を遙かに超える人々が集まるはずがない。限られたスペースでは充分書き切れないが、とにかくこの教科書の意図は、我が国が如何に酷い国であったかと言うイメージを、子供達に強く植え付ける処にあるとしか思えない。この様な教育では我が国の将来を担うべき子供達の心が歪んでしまう。
 全く常識では考えられない内容である。これ迄使われて来ている計7社の教科書は全て同様である。(まともな教科書は「扶桑社」発行の「新しい教科書」だけである。)
 その様に酷い教科書を中国や韓国並びに日教組と日本共産党、社民党並びに在日朝鮮半島諸団体等の圧力に屈して、今後も使い続ける神経は一体どうなっているのか?全国市・町・村の教育長並びに教育委員は一体何を考えているのか?古今東西を問わず、「教育は国家百年の大計である」にも拘わらず、我が国の将来を一体どう考えているのか?
 全く言語道断である。
平成13年10月